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L型ブリストルパター 開発裏話②

更新日:2021年4月6日

L型パターは構えてみると、視覚的に

非常にシンプルな「線」によって構成されています。


トップラインのフェース側と対になった2本の直線と

バンスというか ソール後方の緩い曲線です。



直線曲線の合計3本の線というのは

一つの曲線によって

その直線が歪んて見えたりします。



試作段階では 木

次の段階では 粘土 と使って

デザインを作っていきます。


開発当初から 溶接なしの軟鉄のインゴッドを

鍛造し、削り落とすということだったのですが

試作品として いよいよ削り出しの金属に

入ってくるのですが。。。

ここで難関にぶつかります。


開発当初は バックフェースはのっぺりとした

掘落としのないデザインでしたが

粘土とは異なる そこの削りの陰影によって

フェースが反って見えるのです。


フェース面等直線はNC旋盤による削りですから

反りが見えるような直線ではないはずなのですが

金属にして その削りの陰影が視覚的影響を及ぼすとは

思ってもみませんでした。


そこで バックフェースを窪ませる デザインに変更します。

これで アドレスから見える「線」は4本になります。

ソール後方の曲線と何種類もの半径の円の組み合わせ

・・・最終的には6種類の半径で組み合わせ

テークアウェイの移動しやすい形を作りましたが、

その曲線を維持すると フェースの歪み視覚から

抜け出せません。

バックフェースのへこみの開き角度等

この段階で16種類ものトライをしてみましたが

 やはり微妙なその反り

(フェースが窪んで 左を向いて見える)は

解決しません。





申し訳ないのですが、

市販のパターは この程度であればゴーサインなのでしょう。

しかし、ハミングバードによっても

一大事業ですので、ここに妥協は許されません。


ある時、何気なく

そのバックフェースのくぼみを自分で削り始めました。

弊社にある工作機械は丸い歯のグラインダーですから

丸くへこませる形でしか削れませんが

何回か行い 形を見てみると

今までより ずっとフェースの反りが消えているのです。


あああ なるほど。


ソール後方の曲線と相応して

キャビティ部分を同じように窪ませて

そこに 瞳 の形をつくって完結させると

ソールの曲線とフェースの直線が分離して

見えるという訳です。



そして 工場にはソールの曲線具合と同じ

キャビティ部分の円形のくぼみをリクエストしてみました


ここの部分は解決策に至るまで

相当 数と時間を費やした と記憶しています。


金属の削り出しにすると

その陰影が形の見え方に影響する

というのはとても勉強になりました。

故に 削り出しパターには直線で構成される

ピンタイプが多く、マレットや

逆にシンプルな構成で誤魔化しの効きにくいL型は

なかなか出てこないわけですね。





現在 流行っている異形のマレットヘッドは

まあ ガンダム世代の人たちの受けがいいんでしょうが、

モーメントを幾何学的に表現したものですね。

しかし、パッティングストロークは

生き物である人間がするわけです。

特に パッティングストロークは

静かな動きですから、チカラやスピードで解決出来ません。

打ち手の心模様や欲がモロに出る訳です。




機械的な動きを求める

私の目からすると ロボチックな形状のマレットは

多分 その場面ではマイナスに働くでしょう。


この1mを入れれば 予選通過、外せば予選落ち。

初めての 100切りのパット。

初めての ハーフ40切りのパット。

外すと トリプルボギーの登りのパット。

その場面で 機械的に動けるのならば

パターに悩んだりしないですよー。


パッティングなんて 一番感性の代物なんですから

人間の感性にあう形でないとダメでしょう。

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